157・琵琶湖にチょっぴん～

　空前の乳酸菌ブーム(ただ厳密に言うとビフィズス菌は乳酸菌ではありません)。またその乳酸菌たるや胃腸の調子がよくなるものを代表格として、骨が丈夫に・免疫力向上・便秘解消・メンタルに効く・睡眠の質を高める・美容効果・ダイエット・金持ちになる(?さすがこれはないか)など様々。スーパーの陳列棚を見てください。今では完全に牛乳パックの数を凌駕し、かつ新種の商品が次々と現れています。もうすぐ夏本番。今日はそんな乳酸菌について、以前のブログNo127「あぶない乳酸菌」と一部重複しますが、その注意点を改めて書こうと思います。つまり乳酸菌についても他の健康食品と同様に、過剰摂取による弊害は生まれてくるという話。ですから巷のサントリーウエルネス、DHC、世田谷自然食品、ファンケルなどといった健康食品会社にはコールセンターで親切な回答が聞けます。疑問があればドしドし聞いちゃいましょう。そこで今日はまず、乳酸菌を摂取する上での大雑把な話を書いておきます。まあコールセンターに聞く前の基礎知識とでも言いましょうか。では…

(157)琵琶湖にチょっぴん～

<2025/6 郡上八幡商店街で>

☆まず各自の腸に住む乳酸菌はどれくらいなのでしょう?　答え→1000種類の100兆個存在しているそうです。つまり口から積極的に乳酸菌をとったとしても、そもそも体の中に存在する乳酸菌の数は「べらぼうめ!」と言えるほど多量なので、この例えとして「飲んだり食べたりしても琵琶湖にコーラ一本を流す程度」の微々たるものと言われています。それに体に入ると胃酸や胆汁で乳酸菌はどんどん死滅していくのでその100兆個をコンスタントに維持しようとすればヨーグルトで言えば最低でも一日100パックは必要と言った話になるようです。さすがそれは無理なので、漬物や納豆といった発酵食品の摂取。あるいはまた胆汁や胃酸から乳酸菌(ビフィズス菌を含む)を守り大腸まで到達できるような耐酸性カプセル(主に胃酸から守る)やデリバリーカプセル(主に胃酸と胆汁から守る)に入ったような方法で乳酸菌を守る必要があるかもしれません。いづれにしても言うのも憚れるほどの微々たるものです。

☆次に小腸には本来ほとんど乳酸菌は生息していません。つまり大腸などに比べ1/1000程度、数で言えば1万個そこそこです。乳酸菌と同様にビフィズス菌も小腸にはほとんど生息していないのですが、それがある日突然小腸で爆発的に増加をすることがあります。それが前にも書いたSIBOシーボ(小腸内細菌異常増殖症)です。症状は以前から病気の診断名として言われていた機能性ディスペプシアや過敏性腸炎のように腹部膨満や下痢、便秘などの不調を訴えます。ただSIBＯの場合、本来小腸には少ないはずの菌が異常増殖して起きる病気であるため、診断方法や治療方法がそれらと大きく異なり、なぜか日本では今も十分に研究されていません。そんな状況ですから、そのため機能性ディスペプシアや過敏性腸炎として診断されたものが、実際はSIBOである場合も多いようです。欧米では日本以上に研究そのものは進んでいるのですが、抗生物質の連用による耐性菌の発生が容易というSIBOの特性により、完治への道筋にはまだまだのようです。そこでやはり大切になってくるのは「予防」です。

　そのためには、まずヨーグルトなどの乳酸菌食品の過剰摂取を止める。例えば一日に５００mlのヨーグルト(ドリンクタイプでも同様)は多すぎます。体にいいからと言って、納豆や漬物などの発酵食品の過剰摂取も注意が必要です。そしてオリゴ糖など乳酸菌の栄養になるようなものや、パンなどのようにグルテンの多い高フォーマット食(一覧表がネットで見れます)も小腸内細菌異常増殖の誘引になるので注意が必要です。また毎日同じ量の乳酸菌を摂取していても、その日の体調やストレス、逆流性食道炎で胃酸を阻害するプロトンポンプ阻害薬を飲んでいることなどで胃酸の効果を減少させ、細菌の増殖を許すことにも繋がっています。

ともかく「体に良さそうだから、多く摂取した方が…」といったコマーシャルのサブリミナル効果に洗脳されず、何はともあれ程ほどに、てす。バカ飲みしても僅か「琵琶湖に乳酸菌一本」の量しかないのですから。そうそう、それに付け加えておきます。ヨーグルトメーカー(この場合は家庭でヨーグルトをつくる器具のことです)でつくるヨーグルトでは「カビ」(これが体の中で繁殖すると除去が大変なのですが」の発生を防ぐための衛生管理に疎かな場合があります。これは重要な点で是非ご注意を! ちなみにヨーグルトメーカーでヨーグルトをつくる時は「御社のヨーグルトを種菌としてヨーグルトメーカーで同じものができますか？」とお気に入りのコールセンターに聞いてみてください。明確な返答が返ってくるはずです。

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