オフレコの約束を反故にしてまで得たスクープ記事って、それ何なのでしょうね? 今日のHatenaはこれです。
疑問(84)オフレコ?
今回の報道で、その事柄以上にショッキングだったのは、単にスクープ合戦に没入することなく、精緻で重厚な報道を良しとし長年培われてきたオフレコといった取材方法。これが今回一瞬に潰えたことです。
ではまずその<オフレコ>なるものについて、ウィッキペディアでその内容を見てみましょう。
オフレコ(英語: off the record、記録にとどめないこと)とは、談話などを公表しないこと、または非公式なものとすることを指す報道用語である。談話の内容を非公開とすることを発言者と取材者全員が事前に約した上で、本音を話してもらうことである。したがって、双方が事前に約束することなく発言者が発言し、発言後に「オフレコ」とマスコミ側へ依頼又は脅迫しても、オフレコの条件を満たさない 。またオフレコを対価に話してもらった内容を非公開にすることは情報提供側と取材記者との間の約束事項であり、それを守るのは記者としての基本的なモラルとされる。
<成立要件>発言者が事前にオフレコであることを宣言し、それに対してその場にいた取材者全員が了承した場合のみ成立する。すなわち、「契約成立後の発言内容について、口頭約定のみによって完成する秘密保持契約を締結」したものである。広義では発言者と取材者以外に居合わせた第三の当事者たちにも適用される場合もある。
<取材源の秘諾>日本新聞協会編集委員会はオフレコについて「ニュースソース(取材源)側と取材記者側が相互に確認し、納得したうえで、外部に漏らさないことなど、一定の条件のもとに情報の提供を受ける取材方法で、取材源を相手の承諾なしに明らかにしない「取材源の秘匿」、取材上知り得た秘密を保持する「記者の証言拒絶権」と同次元のものであり、その約束には破られてはならない道義的責任がある。」と述べている。
以上がオフレコなるものの内容ですが、ところで海外でもこうした約束事があるのでしょうか。例えば米国でもオフレコ発言やオンマイク発言はあり、そもそもそれが報道されるようなことは無いようです。また、そうした約束を破って報道した場合、ホワイトハウスのブリーフィング(定例記者会見)の場合でも、以後その記者は担当報道官からもらえるはずの取材許可は取り消され、また時にはそのメディア自体の取材許可が取り消されてしまうようです。では本来そうして得たオフレコネタはどう処理するのか? そのまま埋もれさせるのではなく、オフレコといったガードの届かない外堀から緻密な労力をかけて一歩一歩取材を進め、そのオフレコ内容の神髄に到達していく。そしてついにオフレコネタが真実であったことを確証できたとき、はじめて記事にするようです。いづれにしても報道精神の規範を忘れた今回の愚行、ジャーナリストとして万死に値する、あるいは自滅行為ではないでしょうか。今回は取材メディア10社ほどある中の毎日新聞のスクープと一般的には思われていますが、毎日新聞にはかっての西山事件という教訓があります。沖縄返還にあたり日米間に密約があったというスクープです。残念ながらこの記事は政権側の策謀か、記者と外務省女性職員とのスキャンダルといった問題に変質矮小化されてしまいました。しかしそれでも現在に至る日本の従属外交を露見させる画期的で勇気あるものであったことは否めません。それに対して同じスクープ(もどき)でも、今回は何の努力や良心もなく、良質な報道のために培われた今までの取材慣行をただただ自己的野心のため、一瞬で反故にするとは情けなく残念でなりません。ですから、もうこれからは「オフレコ」を信じて発言するような政治家諸氏はいないでしょう。そして不思議なのは、こうした一部メディアの「抜け駆け商法的取材行為」に対して非難しないメディアばかりだということです。「メディアの劣化も極まれり」といった感じで、おぉ寒…
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