05.アジの開き

そもそも「疑問」ってなに? そこで辞書で調べてみました。<疑い問うこと>…まさに単純明快な回答です。ただ、誰かに発した問いかけが、いわゆる「疑問」として成り立っていないこともあるのでは。まさにそんな「疑問」を自分自身の経験から今日はお話ししたいと思います。

  • 疑問5(アジの開き)

小学校入学間もないころ、食事のたび、ある疑問がいつもよぎりました。それは「鯵(アジ)は海の中にいて、どうして海水が体に沁みこまないの」という疑問です。当時、我が家ではアジ以外の魚はそれを焼いたり煮たり、開き干しとして食べていました。ただ残念と言っていいかどうか分かりませんが、なぜかアジだけは開き干しでしか食卓に並びませんでした。それにまた、アジの詳細を見聞きしたり、図鑑で調べるなどと言った向学心がさらさらないため、食卓で見るその姿(アジの開き干し)こそアジそのものの姿だといった偏狭で稚拙な誤解をもっていました。当然これは今でも「サンマの開きを知っているなら、これがアジの開きぐらい想像できないの、バカ~」と言われそうでお恥ずかしい話です。いずれにしても当時はこんな「アジ開き干し=アジ勇姿!」という思い込みの中にいて、「なぜ沁みないのか」といった疑問を晴らしたい欲求は増すばかりでした。もちろん子供心にも、ちょっとどこかピント外れのような予感はありましたが、ついにある日意を決し、兄にその疑問を投げかけました。兄は言いました「沁みこまないようにアジの皮はできてるよ」と。いかにも簡略な返答でした。そして今思えば、その時兄の頭の中には、開き干しのアジの姿はまったくなかったようです。

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