旧統一教会問題が連日耳目を集めています。ただコメンテーターが言うように、政治家とあろう方が(たとえ地方議会の議員さんであっても)世界平和統一家庭連合が旧統一教会や国際勝共連合の流れをくむ組織であることをご存じないなんて、本当なんでしょうか。今日はそんな素朴な疑問についての疑問です。では…
疑問(52)旧統一教会の浸潤
そもそも政治家について、かのマックス.ウェイバーはその資質に責任感、情熱、洞察力といった3つ求めていました。またイタリア人で、ファシズムを徹底的に批判したモスカはエリート理論の先達であると同時に「その知識の広さと洞察力の深さによって自分の生きている社会の欲求をはっきりと正確に感じ取り、できるだけ衝撃や苦痛を避けて、社会の到達すべき目標に導く最善の方法を知っている人(ブリタニカ国際百科事典より)」と政治家を定義しています。そもそも、いかほどの政治家がこうした政治家としての資格要件を充たしているのか、今までも心許ない話でしたが、今回の件は図らずもその欠陥ぶりを露見してくれました。しかしよく考えてみると、そうした議員を選ぶのも国民、市民ですよね。ですから白井聡氏が近著の長期腐敗体制(副題:なぜ、いつも頭から腐るのか)の中で語られているように、やはり近年特にひどい国民の思考劣化に起因しているのかも知れません。さらに付け加えれば、国民を思考劣化へ導く順路としてメディアの力もとても大きいと感じています。ここで話の視点をちょっと変えます。今、メディアで騒がれているのは旧統一教会系組織と政治家の関係ですが、この視点を対政治家に限定していいものでしょうか。例えば過日、某お笑い芸人が某反社会的勢力からパーティーに招かれ、ある一定の関係性を取りざたされた結果、ほとんどのテレビ局などのメディアから放逐されたことがありました。そしてその時、例えお笑い芸人であっても反社会的勢力とは接しないし、今後はより十分な身体検査をするといった了解が業界全般でできたはずです。それが今は連日、識者と言われる人やお笑い芸人さんなどがコメンテーターの役回りでTVに出演され、旧統一教会問題を盛んに話しておられます。ではどうなのでしょう。そうしたコメンテーターさんたちに果たして旧統一教会との接点があるのかないのか。それとも政治家ではないことだし、ある種芸人的範疇の人と捉えて調査対象から免罪、除外してもいいといった判断なのでしょうか、とにかくさっぱりその話は出てきません。報道の独立、中立性の観点からは、重大な侵害の恐れのあるはずなのに、どこのメディアさえもそれには触れません。またもう一つメディアの触れないことはと言えば、今回の事件で非常に参考になると思うのですが、実際フランスには反セクト法(カルト法ではない)があります。ただメディアはその法律の存在を言うのみで、その内容については殆ど語られません。おそらく想像ですが、セクトとして指定された現地法人の中に、世界平和統一家庭連合、サイエントロジー、エホバの証人、崇教真光などに加え政権与党公明党の支持母体である創価学会の指定が微妙にノータッチの雰囲気を醸成しているのではと思っています。ただし創価学会は反セクト法の対象として今は取り扱われてはいません。いづれにしても旧統一教会の日本社会への浸潤。タブーをつくらず徹底解明が必要だと思っています。
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