ウクライナ戦争についてのテレビ報道を見ていると、初期のコロナ報道と同じように、その専門性のためか頻繁に出演される大学教授や評論家(国際評論家というような)がおられます。ただどの先生も「ロシアの言うこともちょっとはわかるね」などと異端の発言をされるような方は一人も出演されません。そして多様な意見を尊重し合うべき今の時代にもかかわらず、自身の安寧を求めてか米国の心情にただただ従えばよいといった当たり障りのない話ばかりです。ちょうどそれは太平洋戦争末期の大本営発表のような一方通行のみの話。視聴者の中には「どちらが勝っても負けてもいいから早く戦争終わってほしい」、あるいは「せめてトルコのように日本も戦争終結の仲裁役をしてほしい」と考える人も少なからずいるはずです。このウクライナ戦争自体が米国の代理戦争といわれるように、単に米国のプロパガンダ番組を見ているような錯覚に陥ってしまう内容です。その中でも大きなウエイトを占めているのが、出演される識者たち。中でも大学の先生方の存在が大きいように思います。と、いうことでテレビに呼ばれる識者ってどんな人? 今日の疑問はこれでいきます。では…
疑問(37)米国シンクタンク
まずご出演の中に防衛研究所など防衛省関係の方の多いこと。ただそうした方がゴリゴリの戦争大好き人間なんて言う気は毛頭ありません。ただ日米安保条約下では、いざ戦争が起きれば対等と言うより米国の指揮命令系統に日本は組み込まれてしまうようです。実際、日米共同演習もそれを想定して実施されていますが、現時点でも米軍専用基地は全国に81か所、米軍と自衛隊との共用基地は全国49か所あります。まさにこの数字だけ見れば、本当に独立国かな?と思ってしまいます。まあその現状を理解すれば、防衛省のシンクタンク系ご出演者は、米国的な発想や価値観で戦争一般をみられるのも、やもうえない事とは思います。しかし大学の諸先生方については、特定の他国の洗礼のない、やや偏屈かもしれませんがアカデミックなお立場を極力守られればと願っています。ここで米国のシンクタンクについて説明します。もちろんシンクタンクは日本をはじめ大半の国にあります。シンクタンクとは社会政策、政治、経済、軍事、技術、文化などの研究を行う頭脳集団で、それをインターネットやロビイストなども利用し、国内外の政治、経済、社会システムに決定的な影響を与えることを目的とした個人や団体です。またその多くが非営利団体です。なお現在米国には180ほどのシンクタンクがあり、内50ほどが「国際関係と安全保障分野」のシンクタンクです。中でもピカピカの保守系シンクタンクとして著名なヘリテージ財団、シンクタンクの格付け機関のランキンク(防衛、国家安全保障部門)で1位に輝いた戦略国際問題研究所(CSIS)の二つは日本でもよく知られています。1973年に設立されたヘリテージ財団と日本は長い付き合いですが民主党政権発足当時、日本の米国離れを危惧した財団は、民主党や自民党との交流の場を増やしたため、今では財団の在籍経験をもつ日本人研究者はかなりの数です。また戦略国際問題研究所(CSIS)はその名ズバリの研究所ですが、日本では日本財団の下部組織である東京財団とも協力関係にあります。また小泉進次郎氏や公安調査庁、内閣官房、内閣情報調査庁などからも職員や研究者の出向を受け入れています。またその意図や背景はよくわかりませんか日本の子宮頸がんワクチンの接種や推進の報告書作成も行っています。さらに最近では中国へ秋波を送った政府要人に対する圧力。また「中国の沖縄米軍基地追い出しの暗躍」といった捏造記事の発信誘導などといったちょっと陰謀論めいた活動も噂されています。いずれにしてもこの会はイエスズ会の牧師が1919年に創ったもの。それはちょうど洗礼を受けたイエスズ会の宣教師フランシスコザビエルが布教のため日本に来たように、世界各地にその教えを敷衍する目的にあります。そしてその教えとは米国の価値観、まさにそれを指します。つまり、[米国にとっての理想の日本とは、米国と普遍的価値観を完全に共有しつつ、軍事的に最高度に積極的な役割を果たすパートナーであるような日本、というものです。](この部分、白井聡著 長期腐敗体質、より引用) そうした米国CSISの現代版洗礼を受けた宣教師(大学の先生などの識者)たちのTVや新聞での布教活動のおかげで、日本国民の思考はおおよそアメリカナイズされているかも知れません。ちょっと長くなりましたので、結論に入ります。特にウクライナ戦争に顕著ですが、国内の報道は米国の価値観に順応立脚したものになっています。そして当然メディアで語る識者の視点も米国に立脚したものですね。ではそうした識者、コメンテーターの経歴を見てみると、驚くことにヘリテージと戦略国際問題研究所(CSIS)の在籍経験者が多いんです。米国に歯向かう政権はすぐ倒されると、言う人がいます。ひょっとして田中角栄氏も民主党政権も? そうではあっても自己保身のため他国に身を売るようなへつらいのコメントや媚びはご遠慮願いたいもの。そしてTVに出るなら、自主独立の気概をぜひ。これ小心者の私が言うのもおこがましいかな? 失礼しました。
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