63.聞かなかったことにする

突然ですが「聞かなかったことにする!」この言語明瞭そうでいて魑魅魍魎な言葉を、上司や先輩から言われたことありません? なんでしょう、この言葉。外人がよく真似をする「ドウモ」と同じように、これもいつか外人に揶揄されそうです。そこで今日の巷のHatenaはこの「聞かなかったことにする」でいってみます。

疑問63聞かなかったことにする

ある人がある人に勇気をもって(もちろん勇気などなくオドオドしての場合も多々ありますが)ある相談をしたとします。例えば(これはあの事件とは関係ありません)「オリンピックに便宜図ってもらえるようさんに現ナマ(そんな下品な表現はなされないと思いますが)渡したいのですが、いかかでざんしょ?」とかなんとか。それを相談された上司のKさんは「それは聞かなかったことにする、よしなに…」と発せられたとします。この場合、よしなに…は勝手にKさんの心中を慮って書き加えましたが、たいていそんなところです。なぜなら、もし聞いた内容が全く上司Kさんの自利を満足させえない事柄なら、Kさんは躊躇なくはっきり、いつものように「ダメだ!」を言うはずです。ところがこの場合、KさんもおそらくこのTさんの提案に「おぬし愛い奴だな…」などと思ったとします。ただ道義的、コンプライアンス、さらにはモラルハザード、ついにはムショ暮らしなどといった想念が一気に押し寄せ、ちょうど地震予知のナマズのごとく心乱舞し発したのが、すでに聞いてしまっているのに「聞かなかったことにする」といった珍奇な言葉なのです。つまりKさんの心中を要約すると「君の言うそれは自利、多利とも、とってもいいことだけど、自分だけの責任でやってほしいな」「つまり、何か問題が起きたら、あくまで自分の独断専行でやったということで墓場まで…」とまあ、こんなあたりだと思われます。そしてこの会話の最後はいつも、何がわかったのかわからない会話なのにTさんの「はいわかりました」で終わり席を立ちます。そして事件が起これば記者に囲まれ(これもあの事件とは関係ありませんが)Kさんは言います。「それについてTさんから何も聞いてはおへん、青天の霹靂でんな。あいつ平生は真面目によう働き、有能な奴やと思いとりましたが、今回は飼い犬に手噛まれたようなもんどすな、ハッハッハ」とまあこんな感じでしょうか。もちろんこの時に、飼い犬ポチのTさんも「こんな自己中で責任逃れを言うKさんだけど、きっとその時になれば豪放磊落そうなKさんのこと、必ず救ってくれるだろう」といった淡い夢も潰えます。どうでしょう、この「聞かなかったことにする」は日本だけのものでしょうか。ともかく「聞かなかったことにする:略して、聞かズル」を起因として、近現代においてさえ如何ほど多くの人が路頭に迷ったことか、私は知りたい。最後はちょっと大げさになりました。

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