イスラエルによるガザへのジェノサイドは、およそ人間の所業とは思えない残虐さで続いています。しかしイスラエルの背後でその手綱を緩めることなく、普遍的価値観なるものの敷衍に勤しみつつ、見事なまでのダブルスタンダードと二枚舌外交でイスラエルをかばう米国の存在。またそれに呼応するように、自主独立性を放棄し、米国やEUに盲従する日本政府の姿勢はウクライナ戦争についても同様に貫かれています。残念なことに、それはメディアの報道姿勢にまで及び、何を恐れてか米国やEUがもたらす視点へバイアスのかかった、ある意味情報操作ともとれる報道が来る日も来る日も垂れ流されています。そうした中、識者と称されるTVコメンテーターなる人達。そうした趨勢に逆らうことなく、むしろその補完部隊として、ただ自己保身故なのか、浅薄な虚言の数々。例えばウクライナ戦が長期化すると思われ始めたころ、テレビではプーチン氏の精神疾患を含む重病説を唱える大学教授さえ現れました。戦況が期待や思惑通りに行かない、勉強不足でそもそも正確な知識の披瀝ができないなどの理由でしょうか。ある日突然「プーチンは病気、それも重病、それも精神的な病か?」という声がTVから流れてきました。事の本質を探究すべきメディアの責任放棄の瞬間です。ただこうした事態を引き起こした最高責任者に、病気といったレッテル張りで探求の放棄や論点ぼかしをするのは過去からメディアの常套手段かもしれませんが。いずれにしても「プーチンはけしからん、けしからんから、けしからんのだ!」といった風の報道ばかりで、プーチン氏の言い分を少しは聞いてやろうなどと言ったメディアはさらさらありません。それについでに言えば、ロシアは最高権力者の死で国もついでに倒れるような独裁国家ではなく、れっきとした寡頭制民主主義の国です。ともあれ戦争の大義など、どちらかが絶対正しいというものではありません。両方の言い分を、いろんな利害や思惑なしで聞きたいものです。そろそろ「今日のHatenaは?」と、お思いでしょう。では遅くなりましたが披瀝します。それはあの「プーチン演説ってどんな内容?」という話で、今日はちょっとお堅いHatenaです。
109プーチン大統領演説
2022年10月のヴァルダイ会議(モスクワ郊外)でのプーチン大統領の演説
(以下…ドット人類史入門・エマニュエルドット/片山杜秀/佐藤優共著文中の佐藤優訳による)
※<今起きていることは、例えばウクライナも含めて、ロシアの特別軍事作戦が始まってからの変化ではありません。これらの変化はすべて、何年もの長い間、続いています。(略)これは世界秩序全体の地殻変動なのです> ※<ソ連の崩壊は、地政学的な力のバランスも破壊しました。欧米は勝者の気分になり、自分たちの意志、文化、利益のみが存在する一極的な世界秩序を宣言しました。今、世界情勢における西洋の独壇場は終わりを告げ、一極集中の世界は過去のものになりつつあります。私たちは、第二次世界大戦後、おそらく最も危険で予測不可能な、しかし重要な10年を前にして、歴史の分岐点に立っているのです> ※<彼らは今、道徳、宗教、家庭を徹底的に否定する方向に進んでいます。(略)私たちは、小学校から学校で、(略)男性と女性以外に性別があることを教え、性転換手術を受けさせるのか?(略)このようなことは、私たちに受け入れられません。私たちには、自分たちの別の未来があるのです。(略)西側エリートの独裁は、西側諸国の国民を含むすべての社会に向けられています。全員への挑戦状です。このような人間の完全否定、信仰と伝統的価値の破壊、自由の抑圧は、「宗教を逆的にとった」、つまり完全な悪魔崇拝の特徴を帯びているのです> ※ <民族や文明の特殊性を尊重することは、すべての人の利益に適います。(略)西洋少数民族の文化的独自性に対する権限は、もちろん保障されるべきであり、敬意をもって扱われるべきですが他のすべての人々の権利と同等であることを強調しておきたいと思います。(略)西側と違って、私たちは他人の裏庭に干渉しないのです> 以上
☆米国&EU連合のご都合主義的な価値観を至高のものとし、それに泥沈する日本人にとってこの演説内容は奇異に感じるものかもしれません。しかし発言の本質を理解すれば、対ウクライナ戦での100%勝利を予測可能にするほど、まさに深淵なテーゼが見えてきそうですが、どうでしょう。
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