今日は、小難しい話はやめて、日常で経験した、書くほどでもないのに何となく書きたくなるような、そんなのを書こうと思います。早速「そりゃ何だ!」というお声が聞こえてきそうですから、すぐ発表します。ジャーン♪今日のHatenaのテーマは「沈黙の鉄火丼」です。では、ご静粛に…
(148)沈黙の鉄火丼

<2025/1 谷汲山華厳寺>
最近、ジム通いの中で知り合ったフランス料理の元シェフ(シェフ・ド・パルティ)にこんな話を聞きました。その人、長く有名ホテルのシェフとして勤めていましたが、いよいよ定年を迎えた時、ぜひ自分の店を持つようにと誰も彼もから勧められたそうです。料理の腕は抜群で、客や同僚からも高く評価されていたのですが、それが自分で店を持つことには強く躊躇せざるを得ない大問題があったのです。それは客に「いらっしゃいませ」や「ありがとうございました」が言えないこと、つまり客への挨拶ができないという難題でした。原因はわからない。ホテルで働いていた時は、上司や同僚、さらには家族からさえ「どうして言えないの?」としょっちゅう詰問されていたそうです。ただ同僚の数が多いことで顧客に接せずとも、料理の腕前で、その難題は看過されていたそうです。しかし自分の店を持つとなると話は別です。居酒屋で飛び交う「喜んで!」の連発ほどではないにしても、調理場から、あるいはレジでの店主挨拶はどうしても必要になってきます。それを考えるだけで、まさに恐怖。それで退職したらシェフの仕事からきっぱり離れる決心をしたそうです。以上、こんな話を聞いたのですが、今回のHatenaはこれで終わりではありません…ここからです。この話を聞いたとき、ふとこんなことを思い出しました。もう十年ほど前になります。お昼、ある地方都市の海鮮丼の店に入った時のことです。そこは十席ほどのカウンター席のみ。店主一人だけの切り盛りで家族や従業員の姿はなし。カウンターの随所にはメニュー表と小型ポットを配置。店内音楽なし。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など娯楽関係一切なしで漂う静寂のみ。そして次は思わず「うっ?」といった不思議な光景の目撃。それはカウンターの一番出入り口に近い部分に積み上げられた100円硬貨並びに10円硬貨の山。各一山は20枚ほどの硬貨でしょうか。さらにその脇に高さ5cm、横20cm、奥行10cmのボール紙でできた箱が鎮座。ただ辺りにはその用途などの何ら説明はありません。まず入店と同時に、たまたま空いていた一席に腰掛けました。ただ何も聞こえてきません。そうです、あの威勢のいい「いらっしゃいませ!」とまではいかなくても、なんらかの挨拶を期待していたのに、ただ沈黙の空気。次にメニューを開きました。海鮮丼、鉄火丼、マグロ丼、中トロ丼、いくら丼…う~ん「じゃあ鉄火丼!」と元気よく叫びました。が、やはり店主の応答なし。目さえこちらへ動く気配なし。もちろんお客も沈黙の空気。そんな中、注文してから10分ほど経過したでしょうか。<鉄火丼なんて、丼にご飯もって、あとマグロの切り身乗っけるだけだよね>とまぁ考えたものですから、意を決して発しました。「鉄火丼まだですか?」と。すると間髪を入れず店主の声が返ってきました。それは初めて聞く店主の声。普通のオッサンの声。「今、つくっている」と…ただそれだけ。結果、それからまた5分ほど経過して鉄火丼は出てきましたが、もちろん<計15分も鉄火丼の作成にかかるか?>なんていう疑念は心の内に封印しました。つぎに鉄火丼を食べながら考えました。「会計はどうお願いするのだろう?」とか「お金の支払い方法に何か作法でもあるのか?」なんてことを。その頃には心の動揺もだいぶおさまっていたので、まずは他のお客の振舞を注意深くモニタリングすることに決めました。その観察内容を詳述すると、食べ終わった客は無言で席を立ち、速やかに出口方面へ向かい、まず前述の某箱の中へ、食べた丼料金に照応した金銭を置き、必要とあればカウンター上に積み上げられた100円硬貨と10円硬貨を釣銭として猫ババします…××訂正!→釣銭として受け取ります。その時、店主に「箱に2000円置いたから520円をおつりで貰ってくよ」なんていう報告もなければ目くばせもありません。只々沈黙の世界。そして初めて来店した人だけが侵すミステイク、つまり私の犯した「鉄火丼まだですか?」の声と「今、つくっている」といった冷めた店主の声が交錯する魔境の経験だけが、特殊事例として私の脳裏に刻まれました……なんて、もちろん大げさな事件などではありません。ただ付言すれば、その沈黙の中で作成された丼、コウメ太夫ならこう言うかな。「美味いと思ったら○○でした チクショー!!」と
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