149・ロシアが勝つに決まってる!のに

このブログでも、何度かウクライナ戦争に触れました。そのどれにも共通するのは、ロシアの勝利を予想する内容でした。もちろん「そうあってほしい」と願ってではありません。あくまで中立の気持ちで。ただなんとなくメディアなど世間に溢れる物言いには「長い物には巻かれよ」式の空々しさを感じていました。その空々しさとは一体どんなものなのか。些末な話ばかりですが、今日はそれをHatenaとします。

　(149)ロシアが勝つに決まってる!のに

<2025/3　庭の梅>

　戦争が始まり最初に感じた空々しさは、2014年のミンスク合意による和平を反故にするよう挑発したのが本当はウクライナとその取り巻き連中の米国やNATO諸国ではなかったのかという疑念です。プーチン大統領が言う「NATOとは今後これ以上に東方(ロシア方面への)拡大をしないという約束をした」との言質の検証をメディアもさっぱりしません。それがないまま「プーチンは国連憲章違反の極悪人」という空疎なシュプレキコールしか今も聞こえてこないのはなぜでしょう。ただ国力差で言えば比べ物にならないような小国に対して繰り返す国連憲章違反常習者。その代表格の米国までがそれを連呼するとは、まさにジョークの域です。

さらに日本のテレビでは「よくもまあ揃えましたね～」と思えるような、へんてこりんコメンテーターの多用が目に付きます。開戦当時から最近まで、ウクライナ戦に関わる報道番組は大本営発表もどきの「戦況報道」一本やり。そこでは、この戦争の根本原因や停戦に向けての策を論ずることなどサラサラ皆無で煽るだけ。そもそもこの戦争についての十分な考察力をお持ちでない方がコメンテーターとして出演されているからでは。その発言と言ったら滑稽で、時には震天動地。中でもびっくりしたのは、言うことに事欠いて「プーチンは病気だ(精神の病を含め)」という話。少なくともロシアの国民が選んだ国家元首を「キ〇ガ〇呼ばわり」し、それを公共の電波に乗っけてしまうその破廉恥さ俗物さ。報道番組で、そこに出演される大学教授や研究者らを、その道の専門家と称したいのなら、その人物の知識レベルや人品を注意深く吟味して頂きたいものです。しかし考えてみれば、コメンテーター諸氏も生存競争の真っただ中。破廉恥で下世話で、かつ「空気読み過ぎ」な発言なども、自己保身を担保する手練手管と考えれば淋しい話ですが納得できます。

ところでトランプ大統領になってやっと、「普遍的価値」の連呼といった珍奇な狂騒も若干沈静化してきたでしょうか。そもそも「普遍的価値」などといったものが存在するのかどうかHatenaです。例えば「人を殺してはいけない」。これこそ「普遍的価値」のように思われがちですが、これとて死刑制度といった国家による殺人は認める場合もあり(我が国のように)、あてになりません。もちろん「戦争」についても、そこに「普遍的価値」などを見出すことは不可能です。つまり「勝てば官軍」と言われるように、そもそもどちらに正義があるか色黒の判定は難しいということです。ただ問題なのは「普遍的価値」なるものが本当にあるかどうかではなく、その「普遍的価値」なるものを他国にまで押し付ける行為。この押し付け「普遍的価値」行為こそがバイデン大統領まで続き、トランプ大統領が政策転換の大ナタ断行中にある「米国流普遍的価値」の本性なのです。そして中国やロシア、もちろん日本を含む他の国々もその国なりの普遍的価値観はありますが、それを他国に押し付けることはまずありません。ロシアのプーチン大統領は大統領演説で「人類には男と女の二種類しかいない」と発言し、トランプ氏も同様の発言をしてLGBTQ＋には批判的です。ただその価値観を敷衍する対象はあくまで自国であり、他国に強要する意図はありません。つまり自国の普遍的価値観をひけらかし、それを他国の政治や文化の面にまで浸潤させ政府転覆まで画策する(2014/２のヤヌコビッチ親ロ政権崩壊)。そんな米国(バイデン政権までの)や米国の衛星国もどきで好戦的な英国のような図々しい国はありません。そして米国自らは明言しませんが、この戦争の実態が米・EU(NATO)対ロシアの代理戦争に他ならないことをよく理解しています。ともあれ表面的にはロシア対ウクライナの戦争のように見えますが、本質は米・EU(NATO)対ロシアの普遍的価値観争いということでしょうか。先般のGBTQ＋やDEIの問題についても、こうした米国やEU寄りの考えは世界規模で見れば逓減傾向(世界人口比で言えば30％ほどしかありません)にあり、またトランプ政権になり、その転換はさらに劇的になりつつあります。そしてグローバルサウスの台頭により、従来の価値観外交や武器援助による代理戦争を目論んでも、その効力は限定的です。つまり武器援助については、近年米国の工業生産力は著しく低下し、ウクライナに十分な弾薬を提供するのが難しく、ロシアよりウクライナの方が早く弾薬が尽きてしまうと言われています。なぜなら2022年の世界工業生産額ランキングでは、世界全体に占める割合で、中国は31.2％(1位)・米国は16.3％(2位)となっています。しかし第二次世界大戦当時の米国は、その割合は世界の約半分で断トツ1位の工業生産額を誇っていました。

また22年にロシアとドイツとを結ぶ天然ガスのパイプライン「ノルドストーム」が爆破され、当初ロシアが爆破したといったマスコミの論調でしたが、今では独ロ関係をもっと悪くさせるための米英の仕業ではと言われています。その所業が白日に晒されたら、世論の動向はさらに激変しそうですが、それについても日本のメディアは空々しい限りです。

そして仰天、海外に預けてあるロシア資産の凍結や運用という話までありました。酷い話です。端的に言えば下劣な盗人行為。つまりこれは「EUが凍結したロシア中銀の資産44兆円～47兆円を運用して、その運用益約5000億円をウクライナ支援に当てよう」という話です。もう少し砕けて言うと「あいつ気に食わないから、あいつの預金払い出しできないようにして、みんなで使っちゃえ!」という、とんでもない話です。そしてそれではあまりに下品と気がとがめたのか「元金はとりあえず使わず、その元金を運用に回して、その利息や配当は貰っちゃえ!」それなら元金減らすわけでもないから「いいジャ～ン」…という話?

こんなことやっていたら、いつ米国やEUに嫌われて我が国もロシアのようになるのか不安になるし、海外預金も怖くなります。もちろんこんな所作も米国やEUには普遍的価値観の範疇なのでしょうか。

ともかくアングロサクソン的な自由や民主主義こそ普遍的で正しいとする、ある意味教条主義的押し付けに邁進する米欧。そしてそれに盲目的追従でひた走る哀れな国々。対するロシアは権威主義国家ではあるものの、あらゆる文明や国家の特殊性を尊重するという考え方です。このウクライナ対ロシアの戦争を、そうした価値観の相克としての代理戦争と見れば、TVコメンテーターの陳腐な発言の意味も同情的に聞くことができます。そしてトランプ大統領となった今、近い将来には以上書いたような違和感を解消できるような時が必ず訪れると確信しています。

つまりロシアのプーチン氏と米国のトランプ氏による戦争終結という結末です。そしてそれは米国があまねく世界に敷衍しようとした「米国型普遍的価値」の終焉にも他ならないのでは。つまりアメリカという勢力が消えることで、世界の平和な状況が取り戻されるということかも知れません。

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