165・台湾有事

 高市早苗首相の「台湾有事」発言の影響が、政治・経済さらにはインバウンドやエンターテイメントの世界などでも随所で炸裂しています。そこで今日は、それが単にミスリードの発言かどうかはわかりませんが、それを取り巻く世論について今日のHatenaで触れたいと思います。

(165)台湾有事

<2025/10 熊にしろ鹿にしろジビエは旨いだって?  つい先日までクマのプーさんなんて言ってたのに残酷だね~人間は>

➀今テレビやSNS上では愛国心もどきの威勢のいい発言が巷を席巻しています。例えばテレビではお笑い系コメンテーターの方や高市軍団の方たちも総理の寵愛を獲得しようとしてか、競って「中国に宣戦布告せよ!」もどきの小心者オバカ発言を繰り返しています。これは精神的カタルシスにはなるかも知れませんが、そもそも日本と中国との国力差を考えてみてください。死にたい人は、いの一番に戦場へどうぞ…2025年8月時点での比較では 陸自の兵力日本13万人➡中国100万人 海自艦船日本139隻➡中国690隻 航空兵力日本370機➡中国3370機

「それみろイヌ、ポチ、ムチ」などと揶揄するつもりはさらさらありませんが「鬼畜米英、負けられません勝つまでは」のあの時代を彷彿とさせるエキセントリックな愛国心がすぐ沸き起こるのは小児的な国民性でしょうか。また、対中国のことになると、なぜこれほど、にわか「愛国者」が増えるのか不思議です。そんな国民性、メディアも同様なのですが(今月実施された共同通信社の世論調査についても、中国との戦争を煽っているという良識的な批判が殺到しているようです)、そもそも「尖閣列島沖での中国の領海侵犯!」などとよく叫びます。もちろん中国のメディアも中国国内で「尖閣列島は中国の領土だ!日本の領海侵犯だ!」と叫んでいます。しかしこの件、当然のようにお互い相手国の発言は報道していません。国際司法裁判所へ提訴する、あるいはハイレベルの日中話合いの場を設けるといった賢人外交の努力などには目もくれず、「尖閣は我が国固有の領土なのだから領土なの、バカ!」と言った罵声のキャッチボールだけ。そして時々「ついにこんな古文書や古地図発見、これこそ我が国の領有を証明するもの、まさにコンクルーシブ・エビデンスだ!」というような文書発見合戦に明け暮れる日々。

※そもそも当時の田中角栄首相と周恩来首相の間では、尖閣諸島の問題をとりあえず「棚上げ」にする、つまり将来の世代に解決を委ねることで合意があったとされています。しかし、これについて合意文書は存在せず、日本政府は「解決すべき領有権問題は存在しない」として、「棚上げの約束は存在しない」と否定しています。一方中国政府は共同声明の交渉時や1978年の日中平和友好条約締結交渉時に、領有権問題の棚上げが約束されたと主張しています。

➁そして次は、台湾有事なるものが本当に起きるのかどうか。まず台湾の最大野党国民党は台湾と中国とは友好関係を堅持するというスタンスを持っていますし、先日の代表大会で選ばれたチョンリーウェン国民党代表(女性)は前代表よりさらに中台友好派とされています。また今年11月17日の台湾調査会社による20歳以上を対象とした世論調査では13.9%の人が中国との統一を支持。また9月16日の台湾民意基金会による政党支持率調査では民進党が30.9%、国民党25.2%と急伸。また7月には台湾与党代表の頼清徳氏の支持率は37.8%と急落し不支持率は50.3%と支持不支持が初めて逆転しました。いづれにしても、「台湾有事」はまさに「オオカミ少年」の日本の防衛力の増強をはかるリーズニングとして活用されてきた節があります。またこれは先日の共同通信世論調査とも一脈通じるものかもしれません。突き詰めて言えば、国連憲章を見るまでもなく「国のあり様については、その国やその国民が決める」のが原則のはずです。それでないと、今はまだ少数意見ですがいつか琉球(沖縄)独立の問題が再燃した時、日本の立ち位置はどうするのか。チャッカリいつものようにダブルスタンダードで行くのかどうか、「台湾有事」の問題は良き教材になるはずです。

<補足>

領海の再定義の可能性

もし尖閣諸島が日本の領土ではないとされた場合、尖閣諸島を基点とする日本の領海は存在しなくなり、その結果、日本の領海の範囲が変化することになります。これは、現在の日本の領海の一部が、国際法上の領海ではなくなることを意味します。

排他的経済水域への影響

領海と同様に、尖閣諸島を基点として設定されている排他的経済水域(EEZ)にも影響が及ぶ可能性があります。EEZは領海基線から200海里(約370.4km)まで設定され、水産資源や鉱物資源の利用、開発の優先権などが沿岸国に与えられています。したがって、尖閣諸島の領有権の変更は、周辺海域の資源利用権にも大きな影響を与えることになります。

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