207あぶない?乳酸菌

　乳酸菌万歳!とばかりに、猫も杓子も乳酸菌。腸はもちろんのこと、虫歯や歯周病予防にも乳酸菌。さらには体重減量から認知機能の改善にまで乳酸菌とくれば、まさに乳酸菌は食のヒポクラテスたち。そしてテレビをつければ、いつもどこかの局で乳酸菌のコマーシャルが流れています。とくに夕食の時間帯を選んだように流される便秘解消目的のそれ。画面は「やっぱり出ない～」といって腹を抑えるシーンやその憂鬱顔。いづれにしても不安を煽り、乳酸菌に手が出るように仕向けられたサブリミナル効果のコマーシャル群。そんな乳酸菌ですが、前にもこのブログ(SIBO)のところで書いたように、摂取すれば何でもかんでも良いのか?というと、そんなわけではないはずです。という事で今日のHatenaは、以前のブログ(SIBO)と一部重複する内容ですが、乱舞する巷の乳酸菌ブームの中での疑問点を再度書いてみました。では…

　207あぶない?乳酸菌

<推定7～8歳、地域猫ミイちゃん>

★腸の不調(原因不明の腹痛、便秘、下痢、腹部膨満感)を訴える人の中に、かなりの割合でSIBO(シーボつまり小腸内細菌異常発酵)患者がいることが、最近わかってきたようです。

※そもそもSIBOとは→大腸には非常に多くの腸内細菌が存在し、健康をつかさどっています。一方栄養を吸収する場としての小腸には、本来ほとんど乳酸菌などの細菌は存在しません。ですから小腸が正常な状態では、そこにガスは発生しません。それが様々な要因(小腸に残留物として残りやすい高FODMAP食品の過剰摂取など)によって小腸内細菌が異常に増殖し、小腸内の豊富な栄養を分解して多量のガスを発生してしまうことがあります。そして発生したガス(メタンや水素ガス)により、時には妊婦のお腹のようにバンバンになり、腸内での様々な悪さ(腹痛など)の原因となります。しかし以前から患者数の多い米国などではSIBOの研究や治療が行われていたのですが、日本では最近やっとという段階です。そのため、今まで過敏性腸症候群(IBS)と診断されてきた症例も、実際にはSIBOが多く含まれていると言われています。また症状としても、多量のガスの発生による小腸粘膜の炎症に照応して腹部膨満や腹痛などの他に便秘、下痢やさらには腸管に穴の開くリーキーガットを発症する場合もあるようです。またそればかりか、栄養吸収が疎外されるため倦怠感、頭がボーッとする(ブレインフォグ)、うつ症状といったようなメンタル症状が出る場合もあります。それに残念ながら治療の確固たる方法が無く、米国などでは抗生物質治療が主流なのですが、問題はその再発頻度が高いといった難題を抱えています。そのため時間はかかりますが、やはり小腸内の雑菌を増殖させないような食材を食べるといった、いわゆる「低FODMAP食」の徹底を、そのエキスパートである江田証(えだあかし)医師は推奨しておられます。「低FODMAP食」を初めて聞かれる方も多いと思いますが、大雑把に言うとグルテンフリーで糖質が低いものを選び、納豆、ヨーグルトなどはダメといった感じでしょうか。なおネット検索でも「高低のFODMAP食一覧表」を見ることができますので一度ご確認ください。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そもそも人の大腸に住む腸内細菌の数は重さにして1～1.5㎏、個数で言えば600～1000兆個だそうです。「何につけても乳酸菌」などと言いますが、ビフィズス菌でもアシドフィルス菌でも、その1錠あるいは1パックの乳酸菌は50億個とか100億個とかの程度。そもそも億と兆との単位差があり、一人当たりが保有する腸内細菌数とは歴然とした差があります。そのためそれを飲んでも「琵琶湖にコーラ1本を流す程度のこと」とその効果を揶揄されます。ただSIBOは、本来無菌に近い小腸内の異常発酵に起因する病気ですから、乳酸菌の過剰摂取がその誘引となる可能性は決して侮れません。SIBOでない人が直ぐに乳酸菌の摂取を止める必要はないでしょうが、心の中に「乳酸菌を摂取すればするほど健康!」のような幻想は持たない方がいいようです。対してTVや新聞は明けても暮れても「乳酸菌はバラ色の秘薬」的な番組や記事を流し続けています。それでスーパーの陳列台にはいつも乳酸菌食品花盛り。そんな中で、大スポンサーに逆らうアンチ乳酸菌を唱えるなんてこと、とても恐ろしく狂気の沙汰なのか、ちっともSIBOについてメディアは取り上げません。これも大雑把に言えば「忖度」なんでしょうけどね。そうそう今月の英国エコノミスト誌が「日本のマスコミは、しんぶん赤旗以外はスクープも放たず権力に阿るばかりでダメだ」などと書いています。そうなんです、日本のマスコミはへなちょこ集団なのですよね、過去も今も益々と…

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