どうしたことでしょう。一人ぐらいLGBTQ＋の啓蒙活動や内容について「?」を発言する人がいてもいいのに。平生は勇ましく自説を論ずるかの保守系TVコメンテーターさえ、この話題には「沈黙は金」を貫徹です。もしくはLGBTQ＋の啓蒙活動や差別糾弾は絶対善のごとくに振舞い、「それはLGBTQ＋の人たちに対する許しがたい差別だ」を連呼するかの人。しかし残念なことに、その差別がどんな許しがたいものなのかについての精査はいつも語られません。それはかって日本のメディアを席巻した「同和問題(えせ同和問題)」の時のようにです。またLGBTQ＋について、米国などこの問題の先進国では、この問題から派生したキャンセルカルチャーが今問題になっています。日本でも食っていくためにはある種の沈黙もしょうがないかも知れませんが、それでも果敢な猛者が内心の自由まで侵された挙句、「差別論者」の烙印を押され放逐されるといった非人道的な病理は、決して見過ごせません。そして扇情的にメディアが叫ぶ割には、LGBTQ＋といった用語そのものの無知も、いまだに巷では蔓延しています。次回にわたって、LGBTQ＋とキャンセルカルチャーについて取り上げますが、本日はまず手始めに、知っているようでなぜか知らないし、知ろうともしない、LGBTQ＋の用語解説を載せます。
213 LGBTQ＋ってなに?
<小鈴>
LGBTQ＋とは……(L)レスビアン、(G)ゲイ、(B)バイセクシュアル、(T)トランスジェンダー、(Q＋)クエスチョニング・クィアの頭文字をとった言葉です。では、その意味は?
まず(L)レスビアンとは［女性同性愛者］のこと。自分を女性として自認していますが、恋愛や性愛の対象が女性であるといった性の在り方です。
(G)ゲイとは［男性同性愛者］のこと。自分を男性として自認していますが、恋愛や性愛の対象が男性であるといった性の在り方です。
(B)バイセクシュアルとは［両性愛者］のこと。男女両方とも好きになる性の在り方。日本式に言うと、両刀使というのに近いでしょうか。
(T)トランスジェンダーとは、心と体の性が一致していない人のこと。例えば「体は女だけど心は男」、あるいはその逆。ただ性自認が男女どちらか一方にはっきり帰属する場合に限らず、もっと中間的であったり流動的であったり、さらには超越的な性自認を抱いている人も、トランスジェンダーに入ると考えられています。
では次に(Q＋)クエスチョニングとはいったい何? これがまた分かりづらい。つまり(Q＋)とは自己の性自認や性的思考が定まっていない、もしくは意図的に定めていないセクシュアリティを指すようです。性自認や性的指向について、「まだ決まっていない」「まだよくわからない」「今決めるのは、なにか違和感がある」「まだ一つのパターンにきまりそうにもない」などの状態が、この(Q＋)に当てはまるようです。ですからこのクエスチョニングは➀性自認について指している場合、➁性的指向について指している場合、③その両方を指している場合の計3パターンがあるようです。またこの部分を他の言い方をすれば、例えば「昔は男が好きだったけど、今は男も女も好き」という人や、「昔は自分が男だと思っていたけど、今は女だと思っている」といった人が世の中にはいます。つまりこうした固定観念にとらわれない生き方、つまり「セクシュアリティーは固定されるものではない」といったアイデンティティーこそが、社会を寛容の世界に導くものといった今流行りの思考に収れんしているのでしょうか。また他に下記の用語もあります。SOGI(ソジ)…Sexual Orientation(性的思考)とGender Identity(性自認)の頭文字からとったもので、LGBTQ＋は人に対してカテゴライズする用語であるのに対して、SOGIはどんな性指向なのか、自分はどんな性自認をしているのかといった、すべての人に関わる概念であるため、LGBTより広い概念となっています。次回は、このLGBTQ＋といった概念の先進国で起こりつつある巨大嵐。ある日突然「オマエなんか社会から抹殺だ!」というキャンセルカルチャーについて触れたいと思います。
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