114孤独のグルメ

　テレ東(テレビ東京)のテレビ番組「孤独のグルメ」(原作・久住昌之、作画・谷口ジロー)はなぜ面白いのか。今日はそんなHatenaです。

　　114　孤独のグルメ

　202４/1

東海林さだお氏はその著書の中、「丸かじりシリーズ」だったか何だったかは忘れましたが、こんな風な事が書かれていました、たしか? …<テレビの食べ物紹介番組で猫も杓子もそのレポーターは食べ物を口に入れた瞬間、左斜め上から右斜め下へ(あるいは右斜め下から、左斜め上)目の玉を動かし、陶酔した表情でうまい～を連発、さらには、生きててよかった!とまで言う輩も>…と。もちろんどれもこれも、食べたいなぁと思わせる演技の妙はさすがプロ、生唾ごっくんものです。が、しかし「孤独のグルメ」の主人公井之頭五郎はそんな演技はしません。食べながら、感動や感想をそっと心の中の自分に呟くだけ。さらに言えば、いつも事前調査やグルメガイドブックなど持たず(もちろんテレビの制作現場ではやっているでしょうが、テレビ画面ではそれが一切感じられません)。ひたすら腹の空くまま、気の向くままの衝動的店選び。そこには三ツ星レストランだから旨いに決まってる～ジャン!なんていう予断や権威に阿る姿勢も全くありません。さらに巷に漂う同調圧力や流行、金額に見合った人並の感動がほしいなんて言う世俗的欲求からも解放された一途な食欲。その純粋さが見事映像表現に結実した番組だから人気なのでしょうか。そして脚本の秀逸さにも気づかされますが、そもそもこうしたスタンスのグルメ番組を案出したテレ東には毎回拍手です。

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