19.美容整形

ピアスにタトゥーと続き、今日の疑問の穴は「美容整形」についてです。その三つにどんな脈絡があるの?と思いますよね。もちろんありますよ。「虚飾の中の没個性」とでもいうようなものが。そして美容整形についてはあまり語られませんね。なぜなのでしょう…

疑問19(美容整形)

「美容整形実施件数国別ランキング。」それがどんな調査で判明したのかは知りませんが、人口比率で韓国は堂々の一位、日本は三位だそうです。また胸とか身体全般の施術が多い欧米に比べ、日韓では顔の施術が多いそうです。もちろん将来身長を高くする施術が可能になれば、日韓と欧米のその比率は変化するかもしれません。また顔の施術の中でも日本では「二重整形」がその簡便さ安価さゆえに、とても人気のようです。また今その浸透は中高生にまで及び、まさにピアスホール感覚のような風潮とのことです。前に韓国で美容整形事情を聴いた時、その適齢期(今は就職時期を表すようです)までには美容整形を親が勧めるといった話に驚きましたが、日本でもそうした話は今はあるそうです。また間違っていたら申し訳ないのですが、韓国の求人案内には日本のそれと異なり「眉目秀麗な方求む」といった趣旨の文言記載もOKとのことです。ともかく戦前の写真を見ると、日韓両国民は総じて一重の人が多いですよね。それが今はテレビの街頭インタビューを見ると、なんと二重が多いことでしょう。それはおのずと二つの差異(一重と二重という差異)が一つ(二重)に収斂します。さらに目や瞼の部分という顔の中でも最も個性を主張する部分を、世間の「美人」とゆう価値観に馴染む造作に修正するのですから「いい顔だけど、なぜか皆が似てきたね」といった感想をもつのも当然かも知れません。では何のために美容整形の施術をするのでしょう。やはり同姓や異性から「綺麗だねと言われたい」といった願望が大きいようです。ではその施術でつくられる「綺麗」や「美人」といった概念や価値判断はどこからもたらされるものでしょう。例えば映画テレビから流れる男優や女優の美貌(もちろんこの美貌といった概念も、その時なぜそれを美貌と感じるのかが不明ですが)からでしょうか。それとも子供のころから、親や周りとの会話の中で、「あの人は美人!」なんていう価値観の移入が普段あったからでしょうか。どちらにしても、そうした価値観は後天的ですね。ですから時代の変遷とともに美人の概念も変化します。例えば平安時代の「美人」や江戸時代の「美人」の絵を見て、美人と思います? 美人の概念もその時代がつくるもので、それを超越した普遍的「美人」などいないはずです。今は多様性を認め合う時代と盛んに喧伝されています。それなのになぜ、今のトレンドに縛られ、自身の顔まで他人の価値観や評価の俎上に乗せるのか。美容外科の源流とも言える形成外科は、第一次世界大戦時に多くの兵士の顔面損傷に大きな治療の功績を果たし、その後も顔の損傷や先天的異常の治癒に大きく貢献しました。方やその流れをくむ美容整形は、医学的見地からは正常と思われる部分をさらに美しくするというもので、当然医療保険はきかない施術行為となっています。また「美」を高らかに謳う美容整形は、その施術後一時たいへんな高揚感を人にもたらすそうです。ただ根本的永続的な精神的充足感を得ることができず(そもそも何が美人かという明確な概念がなく価値判断も曖昧なのですから仕方がありません)、他者との比較や老醜に照応して、その施術を常習化してしまう危険もあるようです。また残念ですがメディアも美容整形院が大スポンサーであるがためなのか、そうしたことを話題にすることさえ忌避している様子です。美容整形が単に虚飾文化のあだ花として終わるのか、それともさらに発展を遂げるのか、「多様性を認め合う社会の構築」といった大上段の掛け声の中でこそ「美人とは?」といった難解な疑問さえ内在する現代の美容整形について、なぜもっと論議されないか不思議でなりません。

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