「暑~いですねえ」今は朝から晩まで、この通り一遍の挨拶言葉ばかりです。頭は朦朧とし口中に冷えた甘露でもと思い、井村屋ミルクバーを齧りながらこれを書いています。そんな折だからこれ、という話でもないのですが、体がこれ以上ヒートアップするような話でもないから、書きますね。それに、いつもの「疑問」は最後に「不思議」という言葉で、ちゃんと入っていますからご安心ください。少々言い訳かな?
疑問22(猫)
十年ほど前に亡くなった、家に白くて長い毛並みの猫がいました。それは長女のためにと飼い始めた猫です。子猫の時は病弱で、夜中の粗相も度々といった状況でしたが、成長につれ、あまり病気もしない猫になってくれました。また子猫のころの影響でしょうか、成猫になっても小ぶりな体形でしたが、医者通いもなく元気に過ごしていました。それが家へきて十五年目の秋が訪れたころです。急に体調を崩し、お世話になる獣医師に診察してもらうと末期のガン。そのころ長女は留学中で海外にいましたが、毎日Skypeで会話するのが常となっていました。そしていつも猫がPCの近くにいれば娘に猫のルナちゃんを見せていました。ただその診断後、日に日に動きも緩慢になり猫用パンパースをつけるまでに至りました。そんな姿を、とても見せられません。また娘もすぐに帰れないし、心配になるだけだからと、それで家族で相談し「ルナちゃんの病気のことは娘に絶対言わない」ことに決めました。それから幾日か娘が「ルナちゃんどこ」と聞くたび「ルナちゃん今いたのに、どこへいったかなぁ」などと、こちらも苦しい言い訳が続きました。そうしたある日「最近ね、同じ夢を毎日見るの。白い綿毛の塊がどんどん近づいて目の前に来たらパッと消えるの」と娘が言いました。<それってルナちゃんが娘に家へ帰ってきてと、頼んでいるのでは>その時なぜかそう直観しました。それで「実はルナちゃんとても悪いよ」と言わざるをえませんでした。よほど予想外のことだったのでしょう、画面からは嗚咽の声が聞こえてきました。それで娘は一か月ほど前に戻ったばかりの留学先から急遽帰国し、最後のお世話の気持ちだったのでしょう、三日間猫に添い寝し、後ろ髪を引かれる思いでまた戻って行きました。娘の滞在中、初めて猫も含めて家族全員の記念写真を撮りました。鳴けないほど痛いのか、むくんだ目を細めて抱かれた猫(ルナちゃん)の姿は今見ても痛々しく感じられます。ただその家族全員写真、猫(ルナちゃん)も家族の一員であった証として翌年の年賀状にしました。そして娘が戻って行った数日後、朝家族の腕の中で静かに亡くなりました。そしてその亡くなる二日前の金曜日、それまでほぼ飲まず食わず奥の部屋に寝ているだけの猫(ルナちゃん)は、どんな思いでそうしたのか、出勤する私を久しぶりに玄関まで見送りに来てくれました。元気だったころのように前足を綺麗にそろえ、じっと見据えた目は、最後のお見送りと今までのお礼のようにも感じられました。今はこのブログの黒猫(保護猫)ともう一匹キジトラ(娘が国外から)を飼っていますが、実に猫は「不思議」な生き物です。本当ですよ。今でもあの猫(ルナちゃん)を思い出すと、真綿雲のような毛並に触れた時の感覚が鮮やかに蘇ってきます。
なお、1~9までは01~09と入力ください>
コメント