衆議院議員杉田水脈氏が総務大臣政務官に就任されました。残念ながら杉田氏についてはその評判の数々は聞き及んでいるものの、それらはメディアやネット上で飛び交う悪罵のようなものばかりです。それで今回の総務大臣政務官就任を機会に、もう少し知ろうと改めてネット上の情報を見ました。やはり凄い。やっぱり淋しくなるような、嫌~な感じです。中でも「ブス」といった単語の連打には辟易しました。では、どうしてこんな状況になったのでしょう。今日はそんな疑問について少々考察します。では…
疑問(53)杉田水脈
杉田氏のホームページを閲覧すると政策が載っています。列挙すると➀感染症から命と暮らしを守る。➁「毅然とした日本外交の展開」と「国防力」の強化で日本を守る。③日本国憲法の改正を目指す。④「教育」は国家の基本。人材の強化、安全で安心な国、健康で豊な地域社会を目指す。⑤経済安全保障を強化する。⑥日本列島の隅々まで活発な経済活動が行き渡る国へ。➆「新しい資本主義」で分厚い中間層を再構築する「全世代の安心感」が日本の活力に。⑧国の基「農林水産業」を守り、成長産業に…などとなっています。これは自民党の党是、あるいは2010年綱領にまさしく沿った内容で、良くも悪くも、ある意味先の参議院選挙自民党得票率34.4%のバックボーンとなった思想です。ですから当然、杉田氏のこれら政策提言が、そのような悪罵の対象になったわけではありません。結論から言えば、LGBT(性的少数者)からは子供が生まれないから生産性がない。今の日本に男女差別など存在しない。それなのに女子差別撤廃条約では、そんな虚構のために日本の伝統文化さえ破壊しようとしている。さらに選択的夫婦別姓反対、男女共同参画基本法の廃止等々、ウルトラ保守派と目される発言が発端のようです。ただ、自民党2005年綱領の中にはこうした発言の誘引ともとれる箇所があります。➀高い志をもった日本人を…人間としての普遍的規範、家族の絆、愛国、地域愛、共助。➁持続可能な社会保障制度の確立を…少子化対策、持続可能な社会保障制度。③男女がともに支え合う社会を…女性の参画、男女の特性認識による責任共有。また2010年綱領では、これと表現は若干異なっていますが、上記3つの概念をしっかり内包するものになっています。ではこのように杉田氏の発言が自民党の党是から大きく逸脱したものでないのにも関わらず、激しいパッシングを受けるのはなぜでしょう。杉田氏が、こうした事象の後ろにはコミュニズムの策略があるなどと陰謀論めいたことを言うからか?あるいは物言いが乱暴?とかいろいろ考えを巡らせても、答えは出てきません。ただ言えるのは、右も左も老若男女こぞって「差別だ!」の声。そしてその「差別だ!」の声に抗う声がいつも本人ぐらいしかないこと。もちろん同じ綱領に浸る同僚議員からさえ助っ人の少ない淋しい現実です。またこの「差別だ!」の声は、恐ろしく魔力があるらしく、つい四半世紀以前まで全国を席巻した某団体による「差別糾弾大会」をちょっと彷彿とさせます。当時も何が差別に当たるのか疑心暗鬼の中で、いつかメディアさえそれに触れることをタブー視して、差別糾弾の実態を報道することはまずなかったようです。人にはそれぞれ思想信条の自由が認められています。また公序良俗に反しない限りそれを自由に発言できるはずです。しかし杉田氏を取り巻く事の推移をみていると、じっくり論争するといった手間暇をかける余裕もなく、まず「差別だ!」の大合唱から始まっていそうです。そもそも「差別をどう思う?」といった質問なら、たいていの人は反対と答えるはずです。それに人の性かも知れませんが、尻馬に乗るという自己保身の妙薬には弱いものです。これは識者や評論家と言われる人も迎合には例外ではありません。また「言われた相手が差別だと思えば差別だ」といったような、論証を放棄した空疎な言葉さえ出てきそうです。いづれにしても、杉田氏の発言についてはご本人にきっちり論理だて反証してもらい、またこちらの言い分もよく聞いてもらう。もしこうした対話や論争の時間を省略して「差別だ!」の連呼を続けても、「うるさいから、まずは納得したふりをしておこう」といった世相をつくるだけだと思っています。それでは「差別発言をしない」だけで、いつまで経っても「差別感情」を根本的に無くすことはできません。また本来メディアは、そうした思想や感情に大きく依拠したような事柄に、その論争の場を提供するべきですが、残念なことに今はそれを単なる諍いの範疇に矮小化して盛んに煽るだけです。外交の場と同様、たとえ思想の両極であっても、対話と論争こそが国民の分断を防ぐ唯一の手立てだと思うのですが、どうしょう。
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