59.孤独の音

最近、TVなどで「オノマトペ」という単語を、よく聞きません? これは音や声や動作などを音声化して示すものだそうです。そしてそれは大きく擬音語、擬声語、擬態語の3種類に分かれます。例えば➀キーン、ガシャン、ドカン→どれも物の音を表現していますから「擬音語」➁ワンワン、ニャー、ハックション→どれも人や動物の声を表現していますから「擬声語」③キンキン、テキパキ、ピカピカ→どれも状況を表現していますから「擬態音」と言います。これら漫画などでもよく見ると思いますが、今日のテーマは「オノマトペ」そのものの話ではなく「擬態音」に近い音。具体的に言えば「孤独を感じるような音って実際あるのでしょうか?」という話です。「べらぼぅめ!そんな孤独を感じる音なんか、あるわけねぇよ!」とまあ時代劇風に怒る方もあるでしょうが、それがあるんです。

疑問(59)孤独の音

その疑問に対して明確な例を提示されたのが、かの東海林さだお氏。氏は漫画家、エッセイストとして菊池寛賞を受賞された卓抜。氏の膨大な著書のなかのある一冊(まるかじりシリーズの一冊と思うのですが、どこに書いてあったのか思い出せなくてスミマセン)にこんなことを書いておられます。「家人が寝静まった深夜、原稿を書いていると空腹を感じキッチンへ降りる。季節は冬。棚にあったカップ焼きそばに湯を注ぐ。そして静寂の中3分待つ。容器を持ち上げ、シンクにその湯を落とす。するとポンとシンクが鳴る。その音が、しみじみ孤独を感じさせるんですよね。」(この部分、記載場所が不明のため、著者原文そのものの引用ではありませんが、原文趣旨との相違はありませんので、ご容赦ください) その心に響いた「シンクがポン」の音。科学的に言えば、高温の湯に起因したシンク材の膨張から派生した「ポン」とでも言うのでしょう。ですが、さすが東海林さだおワールドは深山幽谷の世界。孤独の擬態音を教えてもらった気分です。では久しぶりにカップ焼きそば、食べてみよっと。もちろん深夜にね。

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