66.情報操作

前回紹介しました副島隆彦氏著書の中に「今時キエフにいる日本人は日本政府の特務機関の鉄砲玉だ」の項目で、ボグダン・パルホメンコ氏(35歳)という人物をウクライナ・ネオナチの日本への工作員と結論づけています。本当なのでしょうか。ただロシアのウクライナ侵攻に端を発した戦争ではあるものの、あまりに勧善懲悪的な今の報道。一寸の善もロシアには無いといった情報だけが夥しく溢れています。ただイラク戦争やその前のベトナム戦争においても、当初はイラク側、ベトナム側の不正義や残虐性のみがことさら強調されていましたが、時の経過や戦争終結を経て、その多くが米国などによる相手を貶めるためのフェイク報道であることが判明しました。今回の戦争報道を見聞きしていても、コメンテーターの発言の多くが、米国シンクタンク、あるいは東京財団のようなその下部組織、あるいは防衛研究所からのフルコピー情報に依拠したものになっています。そして初期に騒がれたプーチン氏の重病説(精神疾患とか)、「プチャの虐殺」の真相についても、なぜか今では尻切れトンボになっています。卑近な例では、ロシア側については逐一知らされるのにウクライナ兵の戦死者については今なお米英ともに沈黙のままです。また「人間の盾といった行為」について国際的な人権団体アムネスティがウクライナ側を非難したことについては、米英の猛反発で取り消させ、その後なんらその背景が説明されない状態です。また「ブッチャの虐殺」についても、その虐殺死体の中から、ロシア軍が使用しないD-30榴弾砲のダーツ弾が18人の仏国家憲兵隊法医学検視官によって発見され、また町からロシアが撤退した3月30日後の死亡と発表しています。それがどのような理由からか、仏検視官の発表後から今に至るまで、その検証はほとんどストップしたままです。前置きが長くなりましたが、この戦争について日本における報道の中立性や客観性はいかほど担保されているのでしょう。そこで、最初に書いたボグダン・パルホメンコ氏とはどんな人物なのか。前回に続き副島隆彦氏著「ディープステイトはウクライナ戦争を第三次世界大戦にする」より触れてみます。ちょっと長い引用ですが、ご辛坊ください。

疑問(66)情報操作

★「ボグダン・バルホメンコ(35歳)とグレンコ・アンドリー(34歳)というウクライナ人で、ウクライナ情報部員の男たちがいる。長いこと日本にいて、ウクライナ・ネオナチの日本への工作員だ。日本会議や笹川財団とずっと付き合っていた。このボグダンが、まるで普通の日本人のふりをして、キーウからインタビュー番組の中継をしていた。『キーウでも爆弾や銃声が聞こえ、緊迫した状態なので極力明かりをつけないで、窓には近づかず、すぐに防空壕に避難できるように待機しています』とか『ウクライナは絶対に負けません』というようなことを、ずっとしゃべっていた。この2人は、強固な信念のネオナチで、ウクライナをロシアから奪い取る計画に忠実に従っている工作員だ。こういう狂信的な、政治イデオロギー100%の男を見ると私はゾッとする。ボグダンは、必ず『ウクライナがロシアのものになると、次はバルト3国を取りにいきます。そしてどんどん、それから日本にもロシアは攻めてくるでしょう』という。この理屈を信念にしている。昔あった、ベトナム戦争の時に盛んに言われたドミノ理論そのものだ。」…と述べられています。それが事実なら、相当日本国民もウクライナ側の虜、いわゆる洗脳に浸っているはずです。では、このボグダン氏自身の経歴に触れてみます。

★ボグダン・ハルホメンコ氏(Wikipediaによる)

ウクライナの経営者、コメンテーター

1986年ウクライナのドニプロ出生。1990年神戸に移住。大阪市立堀江中学卒業後、ウクライナに戻りキーウの高校、大学院へ進学。経済学部及び情報アナリスト学科の修士課程を修める。

学生時代は通訳、コーディネーターとしてNHKや毎日新聞などの仕事に携わる。またオレンジ革命にも学生として参加。卒業後は三菱商事に就職。ユーロマイダン革命に社会人として参加。現在は貿易会社経営。祖父(ウラジーミル・ドミトリエヴィチ・ハルホメンコ)は現ウクライナ科学技術センター顧問(元ウクイナ教育大臣)。

最近の出演番組(回数は今年1~4月):スーパーJチャンネル(6回ほど)、日曜スクープ(4回ほど)、スッキリ(5回ほど)、ミヤネ屋(2回ほど)、報道1930(1回ほど)、ゴゴスマ(2回ほど)、News23(2回ほど)、日曜スクープ(4回ほど)、その他

…といった普通の人、それとも普通のエリートといったところでしょうか。 とにかく、この人が副島氏の言うような要注意人物とは思いたくありません。しかしまた今の日本は旧統一教会のように様々触手を伸ばし得る、まだまだ安穏社会です。ただそうであっても報道機関は社会の公機として当事者一方にばかり与するような垂れ流し情報に微酔することなく、さらには米国シンクタンクに浸潤されたロビイストあるいはスパイもどき人物の出演を厳正に見極めて頂きたいものです。話はちょっと横道にそれますが、10月17日のNHKニュース7にちょっと名前が似た、ボグダン・スルシンスキ氏という人が出て、盛んに日本でのロシア国立バレエ公演の反対を叫んでいました。この方は日本在住とのことですが、日本のこうした異文化交流にまで口出しし反対署名まで集めるとは、自主独立国の日本人としては甚だ嫌な感じがします。いづれにしても、2013年米国からロシアに亡命したエドワード・スノーデン氏が暴露したような国際監視網や国家的情報操作の虜にはなりたくないものです。報道機関のご健闘を心よりお祈りいたします。

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