17.ピアス

最近の時代劇を見ると、女優の耳にピアスの穴がくっきり。また同様に女優の真っ白な歯も、その時代が「お歯黒文化」であったことを考えれば、両方ともその時代考証がなってないということになります…が、もちろんそれほど大した問題でもなさそう。それでも今日は、このピアス対する素朴な疑問を並べてみます。それが本日の疑問で、さらにその答えの糸口になりそうな疑問の穴を書いてみます、では…。

疑問17(ピアス)

まずピアスは古代エジプト文明やインダス文明からあるようです(例えば3300年前のミイラから)。日本では縄文時代の遺跡からピアスが発見されています。ただその後、大宝律令(701年)の時代ごろを境にアイヌ民族を除いて、この今の時代まで、ほとんど流行しなかったようです。そして日本でも他国と同様、当初は魔除け。それが大宝律令時代に中国から儒教思想が伝わり、その「親にもらった体に傷をつけるのは親不孝」といった考え方の影響もあり、その後だんだんと衰退したようです(諸説あり)。ここでピアスという呼び名について確認します。ピアス→それは和製英語です。英語では穴をあけて装着するものこそ「イアリング」だそうです。また穴をあけないで装着するものは「clip-on」と言います。そんな日本語でいうピアス、やはり種々弊害もあるようですね。まずピアスホールとの接触部分、それが金属であることにより熱伝導率が高く、サウナや日光浴での火傷のリスクがあるそうです。またピアスホールは意図的につくられた傷であり、肝炎やHIVといった感染症のリスクをはらんでいます。それで農林水産業や食品業界などには、そうした感染症の伝染を防ぐためにピアスを禁じるところもあるようです。また慢性疾患、免疫不全疾患などの人も、それを行ってはならないとなっています。また急いで着替えして引っかかったり雑踏での人との接触で耳が切れてしまうことも時にあるようです。余談ですが猫ですら、その不妊手術の証としてピアスをする地域もあるようで、ただ事故や喧嘩時の損傷が酷いため、それに反対する意見も多いようです。

そして私自身もピアスにちょっぴり疑問があります。それは多様性や個性を認めあう今の社会で、むしろピアスをすることで画一化、没個性になるのではという点です。これはタトゥーにもいえるのですが、まっさらな体の一部になぜ長期もしくは死ぬまでの固定を予定してピアスのための穴をつくったり、また刺青を彫るのか。人それぞれ時代背景や年齢の推移に照応して、その思考や好み、さらにファッション感覚もどんどん変化変遷します。それなのに、一時の衝動で、消し難い痕跡(ピアスホールは時間とともにふさがりますが、その痕跡は消えません)をなぜ敢えてつくり、またその位置の固定化を欲するのでしょう。皮膚の炎症や生命保険加入もままならないタトゥーに代わり、洋服やタトゥーシールがあるように、ピアスよりイアリングの方がより安全で流動的(飽きたらもっと自由に位置の変更も可能)に自己表現の可能性が高まると思うのですがどうでしょう。もちろんこの考え、古いと? とんでもない!ピアスの方がイアリングよりその歴史は古いのですからね。古代ですよ!古代エジプト!

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